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オオタカ保護策

処分場建設地周辺に生息するオオタカの保護対策について

オオタカとは?

  • オオタカは、タカ目タカ科に属する猛禽類で、全国の平地、山地の森林で繁殖します。全長は、約50センチメートルぐらいでカラスと同じ程度の大きさです。猛禽類は食物連鎖のピラミッドの頂点に存在するために、自然環境の健全性のバロメーターであるといわれています。また、オオタカは、「絶滅のおそれのある国内希少野生動物」に指定されており、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により、捕獲及び譲渡等が禁止されています。
  • オオタカの生態については、まだ明らかにされていない部分が多いのですが、もともと里山の環境に多く生息し、都市部周辺にも多く見られるため、近年では、道路建設などの公共事業にあたって、事業区域の周辺にオオタカの生息が確認されるケースが増えており、事業実施にあたってのオオタカ保護が重要となっています。
  • 山梨県が平成13年度に行った猛禽類分布調査の結果によると、オオタカは、県内の約8割の地域において、500羽前後が生息していると推測されています。

オオタカの調査

オオタカの調査を実施

  • 平成12年7月、処分場予定地の近くで、オオタカの営巣が確認されました。このため、鳥類に詳しい専門家の意見を聞きながら、平成12年9月から1年間にわたり、オオタカの行動圏や周辺の森林環境の調査を行いました。
  • この調査の結果、オオタカが高頻度に利用する区域や営巣の中心区域、狩り場として利用する区域などが推定されるとともに、処分場の周辺には、オオタカの営巣適地と考えられる林分が複数存在していることが確認されました。
  • 平成13年10月、この調査結果に基づき、専門家の方々から「明野廃棄物最終処分場建設に伴うオオタカ保護策の提言」をいただきました。

オオタカ専門家会議からの保護策の提言

明野廃棄物最終処分場建設に伴うオオタカ保護策の提言

平成13年10月20日オオタカ専門家会議

1.モニタリング調査の実施について

 毎年のオオタカの繁殖及び生息状況を把握し、適切な保全策の立案・実施が図れるような体制で、モニタリング調査を行うことを望みます。これについては、専門家・有識者・地元住民などのさまざまな立場の人で組織し、モニタリング調査実施中に、建設工事が行われている至近地で営巣が行われたなどの特別な行動が確認されたら、その時点において関係者で協議できるような、臨機応変の対応ができる組織が望ましい。モニタリングの内容及び期間などについては、その組織で検討されたい。

2.土地利用上の配慮項目について

  1. (1)進入路の計画変更 平成12年度に営巣した場所は、当初計画にある北側からの進入路の至近にあるため、営巣可能地は可能な限り残す配慮が望ましいため、進入路の計画変更を求めます。
  2. (2)建設予定施設の配慮について 管理棟・調整槽などの施設については、現在、構築物がオオタカに与える影響はよく知られていないところではあるが、可能な限り営巣可能地から離すことが望ましいと考えられます。
     また、施設の外観色などへの配慮や、窓には衝突防止対策を行うこともあわせて求めるところであります。
  3. (3)残置森林の確保について 残置森林においても、改変面積はできるだけ最小に、残せるところはできるだけ残すという方針で設計・施工を望みます。
  4. (4)覆土仮置き場について 東西に長く生息森林を分断するような計画になっております。林縁距離を延ばすという観点では、プラスに作用する事も考えられますが、改変面積をできるだけ少なくするという観点や、利用期間・利用状況を考えると、マイナスに作用することが考えられます。そのため、覆土の仮置き場については、繁殖期高利用域以外の場所への建設が望まれます。

3.工事施工中の配慮事項について

  1. (1)工事期間の設定について モニタリング調査組織との連携を図りながら、オオタカの生息状況・繁殖ステージに応じて適切な配慮が行われることを望みます。
  2. (2)低騒音機械等の導入 建設工事にあたっては、低騒音型の建設機械を採用することなどにより、オオタカなどの野生動物の生息に配慮することを望みます。

4.運用中の配慮事項について

  • 人間の動きは、オオタカに大きな影響を及ぼすことが知られております。そのため、運用中であっても、人の屋外への出入りは必要最小限に努め、人的な圧力を少しでも下げるよう望みます。
  • 運用中であっても、至近にオオタカが営巣することも考えられますので、そのような場合も、適切な措置が講じられることを望みます。

5.工事終了後の復元計画について

  • 運用が終了した後、計画的な植林により森林への復元を図られることを望みます。
  • できうれば、森林への復元時においては、旧来の森林環境よりも生物の多様性の高い森林創出を望みます。

6.森林環境の維持管理について

  • 営巣適地と判断される地域及び高利用域は、そのほとんどが民有林と民有農地で構成されております。オオタカの永続的な生息を担保するためには、特に民有林の維持管理方法等が焦点になる場合もあります。このことから、周辺の森林所有者の、適正な森林管理についての協力が必要になりますので、積極的な指導を望みます。
  • オオタカを永続的に生息させるためには、地域住民のみなさんに正確な保護思想を持ってもらうことも必要です。そのための保護思想の普及啓発を行っていただけるよう望みます。

7.その他

上記については、現段階での処分場建設工事計画における提言の内容でありますので、不測の事態や問題が生じるかもしれません。また、それぞれの項目においても詳細な内容に踏み込んだものとはなっておりません。これらについては、新しいモニタリング組織において検討・協議されることをお願い申し上げます。

オオタカの保護・保全対策等の実施とその成果及び評価

平成26年12月、オオタカ等繁殖期モニタリング調査の終了を踏まえ、オオタカ保護策の提言の内容に対する成果及び評価をまとめました。
山梨県環境整備センターにおけるオオタカ保護・保全対策等の実施とその成果及び評価

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